職場風土改善のための一書
「社員のやる気向上」に注目が集まりはするものの、未だに「社員がやる気をなくしてしまう瞬間」というのが至る所に存在しています。
本書は、その理由を探る一助となります。
700社・1万人以上と面談して書かれた職場風土改善のための一書
上司は次のような悩みがあり、
「若い社員にやる気がない」
「突然辞めると言われて困っている」
部下は下記の様な思いを抱えている。
「上司が何を考えているか判らない」
「この会社には未来が無いから辞めたい」
双方の悩みは深刻なのに、手を着けられないまま放置されているか、何もしないままとなっている職場が多い。
それは、上司と部下がお互いのことをよく知らないばかりか、本気で知ろうとしておらず、多くの人が、「会社や職場を仕事をするだけの場所」と考えているからである。
多くの時間を過ごす職場を、単なる仕事の場所ではなく、「人生・キャリアを充実させるための場所」と考え、お互いの関係性を改善して職場風土を変えるべきである。
といった書き出しから始まります。
この書をお勧めする人
・リーダーとして、メンバーのやる気を引き出したい人
・メンバーとの良好な人間関係を気付きたい人
・職場の雰囲気を良くしたい人
・自分自身のやる気を維持したい人
社員どうしの関係性が企業の基盤
本書では、「社員の関係性が良くなると、社員のやる気が高まる以外にも下記の様な変化が起こる。」と分析しています。
・社員の離職率が低下する
・意思疎通の食い違いによる間違いや無駄が無くなる
・部署間の連携が円滑になる
・社員の思考が自発的になる
これらは、職場の社員同士が心理的に繋がって発生する変化であって、職場が職務を通じてお互いの可能性を引き出す場所であるために発生する化学変化の様なもので、1+1が2ではなく、それ以上の結果を生み出す。
そのために、組織は、リーダーは、何に取り組んだらよいのか。
職場で社員同士が良い関係性を築くことはできるのか。
リーダーでなくとも、誰しもがチームのメンバーとして「雰囲気を良くしたい」と思ったことがあるはずです。
そこで、職場風土診断チェックリストや関係構築力診断チェックリストで以って職場や自分を確認しつつ、社員同士の「関係密度」を向上させていこう。と展開されています。
強烈なトップダウンでもなくアメーバー型組織でもない、社員同士の「関係密度」重視のフラット型組織を提唱する、自分にとっては新しい分野の内容でした。
読んでみた感想
ワタクシは仕事や職場を次の様に考えています。
・職場に仲が良い人が居てもいいとは思うが、職場で仲良しクラブをする気はない。
・組織が大きくなるほどに上と下の温度差が大きくなり、上は現場を知ろうとしないまま管理の真似事に走り、下は変えようと努力しないまま不満を漏らす。
・休憩時間さえも有効活用して自分を高め、言うべきことを言い やることをやって、貰うものを貰う。
・皆のためになるなら環境や制度を何とかして変えたい。
なので、どちらかというと「職場作り」という本を自発的に読もうとは考えないタイプなのですが、「仲が良い人が居てもいい」の内の一人に本書を勧められたのがキッカケでした。
なるほど、「社員がやる気をなくす瞬間」と云うだけあって、ワタクシ自身も経験のある、その原因がちりばめられています。
これらが全てではなく、職場が抱える固有の問題も相俟って「やる気をなくす」ワケですね。
理由や原因を知れば対処しようと改善が始まります。
多くの時間を過ごす職場を少しでも良くできればいいなと思います。
以上