この時期になると、どこからともなく迫り来るあの音色(羽音)。
最も多く人間を殺す動物は毒グモでもなく毒ヘビでもなく、なんと「蚊」であるというから驚きです。
WHOの報告書「World Malaria Report2019」によると、蚊が媒介する感染症のマラリアによる死者数は年間約40万人であるといいます。
日本国内においては日本脳炎のみが蚊が媒介する感染症との認識でしたが、2014年にデング熱の国内感染例が報告されたました。今後も他の感染例が報告されるかもしれないと考えると、蚊はやはり用心すべき存在と言えそうです。
- 蚊の種類はどれほどいるのか
- 蚊の特徴
- なぜ血を吸うのか
- いつごろ蚊に狙われ易いか
- どこに居るのか
- 蚊の一生
- 蚊の害毒
- 蚊がこの世界からいなくなってしまうと…
- 蚊は叩き損ねた人を覚えているらしい
- 蚊の撃退には
蚊の種類はどれほどいるのか
日本には約100種類が生息しているようです。想定外に多いですね。その中で血を吸う種類は10種類ほどのようです。
代表的なものはイエカ(家蚊)とヤブカ(薮蚊)とハマダラカで、〇〇イエカ・△△ヤブカという細かい分類が多数あるため100種類もと数えられているようです。
蚊の特徴
体長は約5mm、重量2-2.5mg。
飛行速度は約時速2キロメートル (1秒間に0.5メートル進む程)。
故に、そよ風が吹いている時には蚊は風に流されてしまうので、蚊に刺されにくくなるということです。毎夜そよ風が吹いてくれればいいのですが、そうはいきません。
羽音で羽ばたく時の周波数は蚊の種類によって350から600ヘルツ。人間に聞こえる周波数のうち500ヘルツ辺りの音は耳に突き刺さるような周波数であるため、テレビをつけたまま眠ってしまっていても蚊の羽ばたきは気になって眠れないということです。
雨の中であっても飛行が可能です。
人間に置き替えるとバス程の重量差がある雨粒が衝突する衝撃であるにも関わらず、蚊自身の重量が非常に小さいので雨粒が直撃しても一時的にバランスは崩したとしても直ぐに体勢を立て直して飛び続けることができます。
なぜ血を吸うのか
これが蚊に関する最大の疑問です。他の昆虫は人様を襲うことなく暮らしています。
蚊のエネルギー源は糖分であるため普段は植物の蜜や果汁を吸って生活しているようです。しかしメスが産卵準備期間に入ると、たんぱく質を得るために血を吸うそうです。
人や動物が排出する二酸化炭素や汗の臭い、体温を感知して獲物を探します。
蚊は10メートル先の人間や動物の呼吸によって排出された二酸化炭素を認識する能力あがり、二酸化炭素の方へ近づきつつ人間や動物の汗や体臭を辿って更に近づき、最終的に体温を検知して生き物であることを認識して吸血行為に及ぶようです。
蚊は、二酸化炭素・臭い・体温を検知認識する感覚器官を備えている、なかなか高性能な昆虫と言えます。
いつごろ蚊に狙われ易いか
気温が15度以上になると吸血を始めるといわれており、26から31度で最も盛んに吸血活動を行います。初夏の気温上昇と共に活動が活発化しますが、15度以下に下がったり35度を超えるような気温になると活動が低下します。寒くても暑くても動きたがらないという、やはり同じ生物ですね。
蚊の種類により活動時間帯は異なるようで、イエカは日の出から早朝の数時間と夕方以降、ヤブカは昼から夕方の時間帯に吸血行為に及ぶようで、いろいろな種類が異なる時間帯に交代で襲ってくるということは常に狙われているという意識を持つことが必要です。
どこに居るのか
水際や水面に産卵するので、池・下水槽・水田・廃タイヤや地面の水たまり・墓地の花立・植木鉢の受け皿などなど、水のあるところに生息しているようです。
蚊の種類によって水質が汚れている場所を好むものや、水が綺麗なところに棲むものも居るようで、狭い空間に潜んでいるものもいれば広い場所に居るものもあり、また、塩分濃度の高い水たまりにも生息することもあるようです。夕暮れと共にどこからか忍び寄ってくる蚊はどこにでも居ると言えそうです。
蚊の一生
卵・幼虫(ボウフラ)・さなぎ・成虫と変態します。気温が25-30度の場合には成長が促進され約10日で卵から成虫になります。
オスの寿命はふ化後数日間のようですが、メスは数回産卵するためにで20-40日間生きるようです。
吸血するのはメスのみで、吸血数日後に産卵します。
一回の産卵で約300個を産み、産卵後は再び血液を求めて獲物を探します。蚊のメスは一回の交尾で一生分の産卵に必要な精子を体内に溜めておけるようで、メスは一生の間 吸血と産卵を繰り返します。
蚊の卵は乾燥に対して強いので水たまりが乾燥してしまっても卵は生き延び、再び雨が降って水たまりが発生した時に卵がふ化してボウフラになります。
蚊の害毒
蚊に刺されるとかゆみを生じます。蚊が血を吸う際に蚊の唾液を体内に注入されることにより、唾液によってアレルギー反応を起こすためです。
この蚊の唾液には麻酔物質・消化液・血液凝固抑制剤などが含まれています。
刺されても数日すると痒みはひいていきますがそれでも不快なものです。人によっては著しく腫れたり刺されてもそれほどかゆみを伴わなかったりしますが、これは先ほどのアレルギー反応の度合いによって異なります。
かゆみは夏の暑さも相俟って不愉快極まりないですが、かゆみよりも恐ろしいのは、冒頭に述べたように、感染症に罹患してしまうことですので露出を控えて刺されないようにしたいものです。
蚊がこの世界からいなくなってしまうと…
蚊は人間にとっては血液を吸う不愉快きわまりない昆虫の一つです。
しかしながら、ボウフラの時にはメダカ・フナなどの魚類やヤゴ・ゲンゴロウ・タガメなどの昆虫の餌になります。成長して蚊になってもトンボ・カマキリ・アブ・コオロギなどの昆虫やカエル・トカゲなどの両生類やは虫類、更にツバメなどの鳥類の餌にもなります。自然界には蚊を食べることで生きている動物は実に多く、人間にとって何の利益も無い蚊の存在ですが、この世から蚊が居なくなってしまうと食物連鎖のバランスが崩壊して人間にも影響が及ぶということになります。
悲しいかな、食物連鎖の頂点に居る人間ですが、嫌でも嫌いでも蚊の存在を認めざるを得ないという事ですね。
蚊は叩き損ねた人を覚えているらしい
蚊を叩き損ねると(なぜか悔しいです。)、蚊は死にそうになった体験とその叩こうとした人間の臭いを結びつけて覚え、叩き損ねた人を避けるようになるという研究結果があります。ナショナル ジオグラフィック2016年8月号には、蚊には刺す相手についての学習能力あると報告しています。
二酸化炭素・臭い・体温を検知し、経験から学習するという蚊。軽く尊敬の念を抱きそうに…。いやいや、やはりチクリとやられた後に逃げられると憎い思いをしますね。
蚊の撃退には
蚊帳の中に避難する・戸を密閉する・手のひらで叩き潰す・殺虫剤を浴びせる等々、人類があらゆる手段を使って蚊を回避し撃滅しようとしているのは、蚊の羽音によって快適な眠りを妨げられたくないという思いや、恐ろしい病気を媒介する存在であることいにしえから知っているからです。
日本国内では、蚊取り線香を筆頭に様々な虫除けや殺虫剤が開発されています。結局どれが効果的かは用途や使用場所によって選ぶべきということが言えそうです。
虫よけスプレー
ノーマット
虫よけバリアー
網戸用スプレー
たくさんありますね。用途に応じて選びましょう。
以上